清らかな水、肥沃な土壌、昼夜の寒暖差。恵まれた環境で、ゆっくりと育つ土山の茶葉は厚みがあり、風味が豊か。主に甘みと旨味の強い一番茶と二番茶の新芽を使います。
摘みとった茶葉を一晩寝かせ、微発酵を促す「萎凋(いちょう)」、茶葉を焙煎機で炒る「焙煎」。ひと手間、ふた手間かけたお茶には、茶農家、茶匠それぞれの持ち味が立ち現れます。
花のようなほの甘い香りの後に、芳ばしい香りが立ち上がる。それでいてすっきりとした味わい。和菓子はもちろん、濃厚なクリームやバターを使った洋菓子にもマッチします。和洋問わずもちろん食事にも。
摘採(てきさい)とは、茶葉を摘み取ること。お茶の品質を左右する大切な工程で、その年の最初に摘む新芽を使うお茶は一番茶、それ以降に摘んだ茶葉を使うお茶は二番茶や三番茶などと呼ばれます。土山一晩ほうじには、主に5月〜6月にかけて採れる一番茶、二番茶の新芽を使用します。
茶葉について
萎凋(いちょう)は茶葉を微発酵させる工程です。摘み取った茶葉を置いておき、葉の水分を飛ばしてしおれさせることで、葉がもつ酸化酵素によって微発酵が促され、独特の香りを放ちはじめます。土山一晩ほうじでは12時間以上萎凋させることを規格としています。
萎凋について
殺青(さっせい)とは茶葉を炒ったり蒸したりすることで酸化酵素を止める工程です。緑茶の場合は茶葉の鮮度が落ちないよう摘採後に行われますが、土山一晩ほうじでは萎凋を止める目的で行います。
揉捻(じゅうねん)は、茶葉の上から圧をかけてかけて揉む工程です。茶葉は形がふぞろいなうえ、部位によって含有水分が異なるため、揉捻によって水分が均一になります。このあと、むらなく乾燥させるために大切な工程です。
茶葉に風を当てて水分を飛ばすことで、お茶の香りと味を保ちます。ここまでの工程を経た茶葉が荒茶と呼ばれます。
荒茶から製茶した茶葉を焙煎機で加熱して焙じます。渋みや苦味が少なくなると同時に、芳ばしい香りが出ます。土山一晩ほうじでは、土山産の茶葉のおいしさと萎凋香を引き立てるような焙煎が行われます。
焙煎について
土山茶(つちやまちゃ)は、滋賀県甲賀市土山町周辺で栽培されている日本茶。滋賀県内最大の栽培面積・生産量を誇る。
土山は決して大きな茶産地ではありませんが、むかしから品質の高い茶葉を生産する地域として知られてきました。その秘密は、茶葉が育つ環境にあります。
土山は、琵琶湖の東にそびえる鈴鹿山脈の麓に位置します。朝晩は冷え込み、日中は気温が上昇します。また、「坂は照る照る 鈴鹿は曇る あいの土山雨が降る」と鈴鹿馬子唄にあるように、標高1247mを誇る鈴鹿山脈は上昇気流によって雨雲がたまり、土山には雨がよく降ります。寒暖差と安定した雨量、そして野洲川の清らかな水、養分が豊富で水はけの良い黒ボク土に恵まれ、ゆっくりと成長することで、厚みのある茶葉に育つのです。
厚みのある茶葉は「押しが強い」と表現され、一煎目はもちろん、二煎目、三煎目と何回もおいしく飲める、深みのある味わいになるのが特徴です。ゆっくりと育つことは茶葉のおいしさにつながる一方、新茶の摘み取り時期は毎年5月頃からと、ほかの茶産地に比べて出荷時期が遅いことから、特色を打ち出すために多種多様な品種の栽培にも取り組んでいます。
萎凋とは、茶の製造工程で、摘採後の茶葉をしおらせること。軽い発酵を伴い、紅茶やウーロン茶、白茶(パイチャー)などで行う。
「土山一晩ほうじ」をひとくち含むと、口の中いっぱいにはなやかな香りが立ち込めます。ツツジの花、桃の花、あるいはハチミツと、さまざまに表現されるこの香りこそ、「萎凋」という工程のなせる技です。
「萎凋」とは、摘み取った茶葉を一定時間置いておき、しおれさせること。摘採された葉は、傷を修復しようと自ら酵素を出し、その酸化反応により、発酵が促されます。そうすることで、スズランやラベンダーのような香りのリナロール、バラのような香りのゲラニオールといった、茶葉に含まれる芳香成分が出てきます。「土山一晩ほうじ」では、完全に発酵させるのではなく、このはなやかな香りを最大限に引き出すため微発酵にとどめます。
紅茶やウーロン茶などにおいては、「萎凋」が香りの決め手として重要な工程と位置づけられる一方で、古来、旨味や甘みでおいしさが判断されてきた従来の日本茶(緑茶)においては避けられてきました。したがって、緑茶づくりでは、萎凋しないよう、茶葉を摘み取ったあとはなるべく時間をおかずに「殺青」を行うのが一般的です。
「土山一晩ほうじ」では、摘み取り後すぐに殺青を行わず、まずは12時間以上寝かせ、ゆっくりと葉を熟成させます。葉が重なる部分は発酵が進みやすいので、茶葉の様子を見てかき混ぜる必要があります。また、温度・湿度によって茶葉の萎れ具合が変わってくるため、その見極めが大切です。茶農家の手と目による、このこまやかな仕事によって、茶葉は個性を獲得するのです。
焙煎とは、加熱プロセスの一つで、水分を飛ばし、消化しやすい性質に変えたり香ばしい風味を付けたりするために行われる。日本茶では焙じる、豆やゴマは煎るという。単にローストとも。
お茶における「焙煎」は、茶葉を高温で加熱する工程のこと。一般に「ほうじ茶」と呼ばれるものは、焙煎を経てできたお茶を指します。
焙煎することで、茶葉がもつカテキンはポリフェノールに変化し、渋みや苦味、カフェインが少なくなり、やさしい味わいになります。また、茶葉を焙煎することで、葉脈(茎から葉へ水分・養分を運ぶ管)が膨らみ、芳ばしい香りを放つように。この香りは、コーヒーにも含まれるピラジンというリラックス効果を促す香り成分によるものです。葉脈は、茶葉がやわらかいほどに膨張します。多くのほうじ茶で用いられる番茶(遅い時期に収穫される茶葉)よりも、一番茶や二番茶の新芽の方が膨らみが大きくなるので、一番茶や二番茶の新芽を使用する「土山一晩ほうじ」は、より深みのある香りを楽しむことができます。
焙煎方法は大きく「高温焙煎」と「低温焙煎」の二つに分けられます。加熱する温度や時間によって香りや味わいが変わり、たとえば「高温焙煎」は高温で短時間加熱することで、香りが立ちやすく、「低温焙煎」は低温でじっくりと加熱することで、茶葉本来の風味が生かされます。
さらに、焙煎度合によって「浅炒り」と「深炒り」に大別されます。「浅炒り」は水色が淡く、すっきりとした味わいのもの、「深炒り」は水色が濃く、しっかりとした味わいのものが多いのが特徴です。「土山一晩ほうじ」では、茶匠たちが土山産の茶葉の品質と個性を見極め、「萎凋」の香りを生かした焙煎を追求します。
急須で淹れて楽しむ
冷やしてグラスで楽しむ
ステーキなど脂っこい食事もすっきり
ケーキなど洋菓子と楽しむ
ティータイムに一服して楽しむ
1日の終わりに楽しむ
つくり手それぞれの個性が現れるのも、土山一晩ほうじのおもしろさ。 各社のオンラインストアや店頭でお買いもとめください。
甲賀農業協同組合
農事組合法人グリーンティ土山
マルヨシ近江茶
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